コンポタリレー小説 『アンバランス』 1/5 前半 (ペス)
(2009年7月27日 23:20)
| コメント(4)
こんばんは。ペスです。
ついに始まってしまいました!コンポタリレー小説!
トップバッターは僕ペスが務めます。
文字数が多くなってしまったので、今回は前半だけです。
数日後に改めて後半をアップさせていただきます。
それでは、スタートです!!
コンポタリレー小説
第1作『アンバランス』
「前のチャリが邪魔だわ。もう4ブロックもちんたら走っているじゃない!」
小倉アキコは目の前をチャリで並走しているセーラー服の2人組に向かって、心の中で悪態をついた。言葉づかいにお気に入りのアメリカ青春ドラマ『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』の影響が出ている、というか意図して出している。アキコは今、ドラマや小説に影響されたい年頃なのだ。
「ただでさえ道幅が狭いのに。まったくもう。チャリで並走するのはやめてほしいわ。追い越すこともできやしない。気の利いた嫌味でも言ってやりたいけど、あの人たちは先輩。3年生かしら。あーあ、どうやら我慢するしかなさそうね。」
少しふてくされた表情のアキコが乗るチャリが、ギリ車一台の幅しかない道をまっすぐ進んでいる。その道路にはアキコや2人組の先輩の他にも数台のチャリが同じ向きに走っている。その先には丘があって、丘の上には千葉県立九十九里浜女子高等学校がある。九十九里浜女子高校は1学年2クラスの小規模進学校。アキコはこの学校の1年生だ。
「おはよう、アキコ。」
真後ろから声が聞こえた次の瞬間、同じクラスの高山ユカがアキコの横に滑り込んできた。ユカはチャリの扱いが上手い。マジで上手い。男子に勝るとも劣らない。
「あ、ユカ。ひさしぶりー、夏休み何してた?」
「ほぼ部活。」
「バレー? 大変だったね。」
「まあね。でもトスが上達したのよ。」
「トス、か。」
アキコはユカがバレーのトスをするところを想像してみた。なんか上手そう。ボールに回転がかからないきれいなトスがあげられそう。
「アキコは?」
「スカパーで連ドラ観たり」
「連ドラ? 何観たの?」
「アメリカのドラマ。『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』とか。」
「へぇー知らない。」
「超面白いんだから。」
「そっか。海とかプールとかで泳いだりした?」
「泳いでない! 九十九里浜がこんなに近いのに。眺めてただけ。」
「私も! 夏休み、あっという間に終わっちゃったね。」
「うん」
道をまっすぐ進んでつきあたりを右に曲がると道が広くなって目の前に丘の頂上へと伸びる急な坂が現れる。アキコはうんざりする。やれやれ、また毎日この坂道を登る羽目になるのか。チャリに乗ってこの坂を登るのはマジでつらい。十中八九、いやむしろそれ以上の確率で坂の途中でチャリから降りて押すことになる。チャリを降りずに登り切ったのは1学期に2回だけで、しかもその日は昼まで汗が滝のように湧いて出て最悪だった。前を走っていた3年生の並列2人組は坂の入り口からもうチャリを押している。アキコも今日は押して登ることにする。そしてこれから卒業まで毎日こうするのもいいかもと思う。『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』にチャリを押して坂道を登るシーンがあったし。なんか上品な感じもするし。あと無駄な汗をかかなくてすむし。
「先行くねー」
アキコは立ち止まって、ペダルを強く踏み込んだユカとユカのチャリをしばらく眺めた。ユカのチャリはタイヤからキュザザッキュザザッと鈍いスクラッチ音を発して、それをループさせながら、ユカを丘の上へと運んでいく。ユカの疾走に重ねて蝉の鳴き声がフェードイン。ミンミンミン。あぁ今年も残暑が厳しそう。
「つくづく嫌だわ、ハリウッド映画とカリフォルニアの暑さって。」
アキコは精一杯スカした顔でつぶやいたが、言葉は宙に浮いてしまった。名台詞の再現、失敗。
今日は9月1日。これから2学期が始まる。
つづく
ではでは後半はまた後日!
ついに始まってしまいました!コンポタリレー小説!
トップバッターは僕ペスが務めます。
文字数が多くなってしまったので、今回は前半だけです。
数日後に改めて後半をアップさせていただきます。
それでは、スタートです!!
コンポタリレー小説
第1作『アンバランス』
「前のチャリが邪魔だわ。もう4ブロックもちんたら走っているじゃない!」
小倉アキコは目の前をチャリで並走しているセーラー服の2人組に向かって、心の中で悪態をついた。言葉づかいにお気に入りのアメリカ青春ドラマ『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』の影響が出ている、というか意図して出している。アキコは今、ドラマや小説に影響されたい年頃なのだ。
「ただでさえ道幅が狭いのに。まったくもう。チャリで並走するのはやめてほしいわ。追い越すこともできやしない。気の利いた嫌味でも言ってやりたいけど、あの人たちは先輩。3年生かしら。あーあ、どうやら我慢するしかなさそうね。」
少しふてくされた表情のアキコが乗るチャリが、ギリ車一台の幅しかない道をまっすぐ進んでいる。その道路にはアキコや2人組の先輩の他にも数台のチャリが同じ向きに走っている。その先には丘があって、丘の上には千葉県立九十九里浜女子高等学校がある。九十九里浜女子高校は1学年2クラスの小規模進学校。アキコはこの学校の1年生だ。
「おはよう、アキコ。」
真後ろから声が聞こえた次の瞬間、同じクラスの高山ユカがアキコの横に滑り込んできた。ユカはチャリの扱いが上手い。マジで上手い。男子に勝るとも劣らない。
「あ、ユカ。ひさしぶりー、夏休み何してた?」
「ほぼ部活。」
「バレー? 大変だったね。」
「まあね。でもトスが上達したのよ。」
「トス、か。」
アキコはユカがバレーのトスをするところを想像してみた。なんか上手そう。ボールに回転がかからないきれいなトスがあげられそう。
「アキコは?」
「スカパーで連ドラ観たり」
「連ドラ? 何観たの?」
「アメリカのドラマ。『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』とか。」
「へぇー知らない。」
「超面白いんだから。」
「そっか。海とかプールとかで泳いだりした?」
「泳いでない! 九十九里浜がこんなに近いのに。眺めてただけ。」
「私も! 夏休み、あっという間に終わっちゃったね。」
「うん」
道をまっすぐ進んでつきあたりを右に曲がると道が広くなって目の前に丘の頂上へと伸びる急な坂が現れる。アキコはうんざりする。やれやれ、また毎日この坂道を登る羽目になるのか。チャリに乗ってこの坂を登るのはマジでつらい。十中八九、いやむしろそれ以上の確率で坂の途中でチャリから降りて押すことになる。チャリを降りずに登り切ったのは1学期に2回だけで、しかもその日は昼まで汗が滝のように湧いて出て最悪だった。前を走っていた3年生の並列2人組は坂の入り口からもうチャリを押している。アキコも今日は押して登ることにする。そしてこれから卒業まで毎日こうするのもいいかもと思う。『パラダイス・オブ・ザ・カリフォルニア・ハイスクール』にチャリを押して坂道を登るシーンがあったし。なんか上品な感じもするし。あと無駄な汗をかかなくてすむし。
「先行くねー」
アキコは立ち止まって、ペダルを強く踏み込んだユカとユカのチャリをしばらく眺めた。ユカのチャリはタイヤからキュザザッキュザザッと鈍いスクラッチ音を発して、それをループさせながら、ユカを丘の上へと運んでいく。ユカの疾走に重ねて蝉の鳴き声がフェードイン。ミンミンミン。あぁ今年も残暑が厳しそう。
「つくづく嫌だわ、ハリウッド映画とカリフォルニアの暑さって。」
アキコは精一杯スカした顔でつぶやいたが、言葉は宙に浮いてしまった。名台詞の再現、失敗。
今日は9月1日。これから2学期が始まる。
つづく
ではでは後半はまた後日!
TITLE: 無題
始まりましたね、コンポタリレー小説第1弾『アンバランス』。後半が楽しみです。
TITLE: Re: 無題
お久しぶりです。
始まって早々ですが、
このままリレーしないのもいい気がしますね(笑)
つづきがすごく楽しみです。
この企画ってジャンプ!○○中の執筆中を少し思い出しますね。
TITLE: 無題
久々にブログを見たらいきなり始まっていてビックリしました。
ペスさんすごいですね。
個人的にはトスの話題のあたりがよかったと思います。
今後も楽しみです。
TITLE: 無題
コメントありがとう!
かなりびびりながらアップしたので、
みなさんの励ましに背中を押してもらいました。本当に。
次はコンビニちゃん、がんばって!