第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 2/5 (前編)
(2009年8月26日 22:15)
| コメント(2)
こんばんは。中山です。
リレー小説第2弾「シュークリーム革命」第2話(前編)です。どうぞ。
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王座の間で3人の息子たちを待っているあいだ、極度の興奮状態に陥った王様はひとり過呼吸と戦っていました。王様がソファの隙間に挟んでおいたビニール袋を口に押し当てて安定した呼吸を取り戻したとき、王座の間の扉が開かれました。入ってきたのは、長男のジャンでした。
ジャンは王家がはじまって以来の秀才です。正真正銘のエリート。5年程前に国立大学校に入学して政治学を専攻し、王様としての将来を有望視されていました。しかし、首席で卒業しそうな予感を周囲に振りまきながらも1回生で退学の意思を表明。王様は必死になって卒業するように説得しましたが、ジャンは「世界とこの国の未来に絶望した」「どうせ王様にはならないし」などと吐き捨て全く取り合おうとしませんでした。このときに王様は一過性の便秘を患いました。
退学後のジャンといえば、さながら本の虫です。ジャンル不問。哲学書からハウトゥー本まであらゆる書物を読み漁ります。先日マルクス『資本論』の関連書物を一通り読み返し、今は『本当にあった怖い話シリーズ』が枕の代わりです。
読書の合間には、しなやかなボディーラインを鏡一杯に写してシャドーボクシングをします。大学校はやめましたが、学生時代に始めたボクシングは続けているのです。週に1回、一流のトレーナーと4回戦ボーイを城に呼びつけてスパーリングもしています。また、食事のときには必ず栄養のバランスや摂取カロリーに気をかけます。ジャンにかかれば健康管理なんて朝飯前のお手の物です。
「父さん、顔色が悪いよ。また過呼吸かい?」
ジャンは心配そうに王様へ声をかけると、真っ赤なソファに腰を降ろしました。
「カマン!」
雷鳴のようなシャウトとともに次男のマッカーニが現れ、ジャンの隣に座りました。
マッカーニはバンドマンです。城下町のライブハウスを中心に活動しています。マッカーニには音楽の才があるようで、若い民から絶大な支持を得ています。民はマッカーニのことをロックスターと呼びます。その噂は城の中にまで聞こえてくるほどです。
「ノーミュージック・ノーライフだぜ!」
マッカーニは、口が悪いために社会不適応青年のようにみられがちですが、それは誤解です。生き様がロックなだけなのです。本当はギターと猫を愛する気のいい王子です。たった一言でもマッカーニと言葉を交わせば、誰もがマッカーニのことを好きになります。
しかし、王様は古いタイプの人間なので、ギターは不良の象徴という偏見を拭えず、マッカーニに対する気持ちの整理がつけられずにいます。そのため、王様はマッカーニのギターサウンドを聞くと動悸が激しくなります。今のままでは後継者にはしたくない。早く冒険に出て人生のほろ苦さを経験してほしい。ギターを全て処分してほしい。王様はそう願っています。
「リンスの野郎、また部屋にこもっていやがるのか!クソったれが!早く出て来いよ、お前の顔がみたいだろうが!出て来ておくれよう!」
マッカーニのシャウトには、常に人間のあたたかさが見え隠れします。
三男のリンスはなかなか姿を現しません。
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それではまた後日、後編をアップします。
リレー小説第2弾「シュークリーム革命」第2話(前編)です。どうぞ。
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王座の間で3人の息子たちを待っているあいだ、極度の興奮状態に陥った王様はひとり過呼吸と戦っていました。王様がソファの隙間に挟んでおいたビニール袋を口に押し当てて安定した呼吸を取り戻したとき、王座の間の扉が開かれました。入ってきたのは、長男のジャンでした。
ジャンは王家がはじまって以来の秀才です。正真正銘のエリート。5年程前に国立大学校に入学して政治学を専攻し、王様としての将来を有望視されていました。しかし、首席で卒業しそうな予感を周囲に振りまきながらも1回生で退学の意思を表明。王様は必死になって卒業するように説得しましたが、ジャンは「世界とこの国の未来に絶望した」「どうせ王様にはならないし」などと吐き捨て全く取り合おうとしませんでした。このときに王様は一過性の便秘を患いました。
退学後のジャンといえば、さながら本の虫です。ジャンル不問。哲学書からハウトゥー本まであらゆる書物を読み漁ります。先日マルクス『資本論』の関連書物を一通り読み返し、今は『本当にあった怖い話シリーズ』が枕の代わりです。
読書の合間には、しなやかなボディーラインを鏡一杯に写してシャドーボクシングをします。大学校はやめましたが、学生時代に始めたボクシングは続けているのです。週に1回、一流のトレーナーと4回戦ボーイを城に呼びつけてスパーリングもしています。また、食事のときには必ず栄養のバランスや摂取カロリーに気をかけます。ジャンにかかれば健康管理なんて朝飯前のお手の物です。
「父さん、顔色が悪いよ。また過呼吸かい?」
ジャンは心配そうに王様へ声をかけると、真っ赤なソファに腰を降ろしました。
「カマン!」
雷鳴のようなシャウトとともに次男のマッカーニが現れ、ジャンの隣に座りました。
マッカーニはバンドマンです。城下町のライブハウスを中心に活動しています。マッカーニには音楽の才があるようで、若い民から絶大な支持を得ています。民はマッカーニのことをロックスターと呼びます。その噂は城の中にまで聞こえてくるほどです。
「ノーミュージック・ノーライフだぜ!」
マッカーニは、口が悪いために社会不適応青年のようにみられがちですが、それは誤解です。生き様がロックなだけなのです。本当はギターと猫を愛する気のいい王子です。たった一言でもマッカーニと言葉を交わせば、誰もがマッカーニのことを好きになります。
しかし、王様は古いタイプの人間なので、ギターは不良の象徴という偏見を拭えず、マッカーニに対する気持ちの整理がつけられずにいます。そのため、王様はマッカーニのギターサウンドを聞くと動悸が激しくなります。今のままでは後継者にはしたくない。早く冒険に出て人生のほろ苦さを経験してほしい。ギターを全て処分してほしい。王様はそう願っています。
「リンスの野郎、また部屋にこもっていやがるのか!クソったれが!早く出て来いよ、お前の顔がみたいだろうが!出て来ておくれよう!」
マッカーニのシャウトには、常に人間のあたたかさが見え隠れします。
三男のリンスはなかなか姿を現しません。
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それではまた後日、後編をアップします。
TITLE: 無題
二人ともかっこいいですね。
名前もいいですね。
なんかペスさんの文は落ち着きがありますね。
TITLE: 無題
とばすねー!後編が楽しみです。