第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 2/5(後編)
(2009年8月27日 23:49)
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こんばんは。中山です。
リレー小説第2弾『シュークリーム革命』第2話、後編です!
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リンスのパラサイトは、悠々自適な2人の兄とは少し事情が異なります。
リンスはガチの引きこもりです。
3年前、リンスは世界的に有名なパティシエを何人も輩出している料理学校を卒業し、それ以来、城の外には一歩も出ていません。
リンスが引きこもりになったのは、ある事件がきっかけでした。
料理学校の卒業試験が行われたときのこと。試験の課題はフルーツケーキでした。リンスは料理学校で学んだことの全てを試験に注ぎ込みました。卒業試験を受けた生徒は、全員がホールケーキを作りました。しかし唯一リンスだけが違いました。リンスの超力作はホールケーキではなく、シュークリームでした。シュークリームはリンスが最も得意とするスイーツでした。
リンスの背後でクスクス声が聞こえました。「何これ、シュークリーム?課題はケーキだよね?」「てかシュークリームってマジひくわー」「おい王子ー、空気読めよー」「クックック」「ププッ」リンスのシュークリームは心無い愚民どもにこっ酷くばかにされました。リンスは決して間違ってはいません。悪いのは見た目ばかりを気にする愚か者どもです。しかし、まだ幼さの残るリンスは自分が重大な過ちを犯してしまったような気分になりました。そして飴細工のように脆いリンスの心は粉々に砕け散ってしまったのです。
リンスのシュークリームを採点したのは、若い女性の試験官でした。採点中、彼女の身体には100アンペアの電流が走りっぱなしでした。リンスのシュークリームのすばらしいこと!電気ビリビリ!一見何の変哲もないシュークリーム。ところが上半分のシューをつまんでふたを開けると、中からクリームを纏った色とりどりのフルーツが現れ、輝き、踊り出しました。まるでクレオパトラの宝石箱のようでした。試験官はシューをちぎり、クリームになでつけ、口へと運びました。するとどうしたことでしょう!目の前にスクリーンがブォウォンと出てきて傑作の恋愛映画を丸々1本観たようなとろりと甘い感覚に包まれたではありませんか!エクセレント!リンスはぶっちぎりの満点を取りました。しかし残念なことに、満点の通知表も試験官の絶賛の言葉も、心に深い傷を負ったリンスには届きませんでした。
王様はことの次第を全て知っていました。リンスにかけるべき言葉をいくつか見つけました。けれども王様はリンスの件に関して、静かに見守る姿勢を崩せずにいます。引きこもりの子どもを抱える親はいろんな気持ちに胸を締め付けられて結局のところ見守ることしかできないものなのです。
「お待たせ」
「リンス、遅いぞ!」
「ごめんごめん。ねえ父さん、大事な話って何?」
王座の間にリンスがやってきて2人の兄に並ぶようにソファに座ると、王座の間から重々しい雰囲気が吹き飛びました。
「世界がアメリカになってしまうというこの一大事。いかにして乗りきるべきか。しかしなぜだろう。3人の息子たちの前では取るに足らないことのように感じてしまう。」
王様は声に出さずに握りしめて皺くちゃになったビニール袋に語りかけました。
王子たちは、三者三様、水と油と炭酸水みたいな兄弟ですが、3人は大の仲良し。チーズとワインとウッドチェアーみたいに相性ばっちりなのです。昔も今も3人が肩を並べれば笑い声は絶えません。とても素敵な兄弟です。
王様は、未来への不安がつのりすぎて脳が溶けてしまったのか、それとも息子たちの相変わらずの関係に癒されたのか、誰一人として成人の儀式である冒険の旅に出ていないどら息子たちを前にして安堵感を抱きました。
第68代谷町が汗を垂らしながら王座の間に戻ってきました。手には朝から汗拭きに使われているものとは別に、白くて清潔なハンカチが3枚握られています。谷町はこれからはじまる家族会議に参加するつもりのようです。
王様は飴色の便箋から抜き出した手紙を王子たちに読み聞かせました。
つづく
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次はキタムさん、お願いします!
リレー小説第2弾『シュークリーム革命』第2話、後編です!
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リンスのパラサイトは、悠々自適な2人の兄とは少し事情が異なります。
リンスはガチの引きこもりです。
3年前、リンスは世界的に有名なパティシエを何人も輩出している料理学校を卒業し、それ以来、城の外には一歩も出ていません。
リンスが引きこもりになったのは、ある事件がきっかけでした。
料理学校の卒業試験が行われたときのこと。試験の課題はフルーツケーキでした。リンスは料理学校で学んだことの全てを試験に注ぎ込みました。卒業試験を受けた生徒は、全員がホールケーキを作りました。しかし唯一リンスだけが違いました。リンスの超力作はホールケーキではなく、シュークリームでした。シュークリームはリンスが最も得意とするスイーツでした。
リンスの背後でクスクス声が聞こえました。「何これ、シュークリーム?課題はケーキだよね?」「てかシュークリームってマジひくわー」「おい王子ー、空気読めよー」「クックック」「ププッ」リンスのシュークリームは心無い愚民どもにこっ酷くばかにされました。リンスは決して間違ってはいません。悪いのは見た目ばかりを気にする愚か者どもです。しかし、まだ幼さの残るリンスは自分が重大な過ちを犯してしまったような気分になりました。そして飴細工のように脆いリンスの心は粉々に砕け散ってしまったのです。
リンスのシュークリームを採点したのは、若い女性の試験官でした。採点中、彼女の身体には100アンペアの電流が走りっぱなしでした。リンスのシュークリームのすばらしいこと!電気ビリビリ!一見何の変哲もないシュークリーム。ところが上半分のシューをつまんでふたを開けると、中からクリームを纏った色とりどりのフルーツが現れ、輝き、踊り出しました。まるでクレオパトラの宝石箱のようでした。試験官はシューをちぎり、クリームになでつけ、口へと運びました。するとどうしたことでしょう!目の前にスクリーンがブォウォンと出てきて傑作の恋愛映画を丸々1本観たようなとろりと甘い感覚に包まれたではありませんか!エクセレント!リンスはぶっちぎりの満点を取りました。しかし残念なことに、満点の通知表も試験官の絶賛の言葉も、心に深い傷を負ったリンスには届きませんでした。
王様はことの次第を全て知っていました。リンスにかけるべき言葉をいくつか見つけました。けれども王様はリンスの件に関して、静かに見守る姿勢を崩せずにいます。引きこもりの子どもを抱える親はいろんな気持ちに胸を締め付けられて結局のところ見守ることしかできないものなのです。
「お待たせ」
「リンス、遅いぞ!」
「ごめんごめん。ねえ父さん、大事な話って何?」
王座の間にリンスがやってきて2人の兄に並ぶようにソファに座ると、王座の間から重々しい雰囲気が吹き飛びました。
「世界がアメリカになってしまうというこの一大事。いかにして乗りきるべきか。しかしなぜだろう。3人の息子たちの前では取るに足らないことのように感じてしまう。」
王様は声に出さずに握りしめて皺くちゃになったビニール袋に語りかけました。
王子たちは、三者三様、水と油と炭酸水みたいな兄弟ですが、3人は大の仲良し。チーズとワインとウッドチェアーみたいに相性ばっちりなのです。昔も今も3人が肩を並べれば笑い声は絶えません。とても素敵な兄弟です。
王様は、未来への不安がつのりすぎて脳が溶けてしまったのか、それとも息子たちの相変わらずの関係に癒されたのか、誰一人として成人の儀式である冒険の旅に出ていないどら息子たちを前にして安堵感を抱きました。
第68代谷町が汗を垂らしながら王座の間に戻ってきました。手には朝から汗拭きに使われているものとは別に、白くて清潔なハンカチが3枚握られています。谷町はこれからはじまる家族会議に参加するつもりのようです。
王様は飴色の便箋から抜き出した手紙を王子たちに読み聞かせました。
つづく
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次はキタムさん、お願いします!
TITLE: シュークリームきた
表現がすごくお上手ですね。
言葉を連ねられても、なかなかイメージできない文章などもありますが、ペスさんのは分かりやすくてビジョンが浮かびます。
TITLE: 無題
シュークリームおいしそう。
つくばのシークレットベースのがおいしかったなあ。