第4回コンポタリレー小説『ポップコーン・ボーイズ』第4話

中山(ペス) (2010年9月 3日 08:42) | コメント(1)
こんにちは。中山です。
第4回コンポタリレー小説、
『ポップコーン・ボーイズ』第4話。
どうぞ。

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思考停止を解除。
ああ、未来山くんと明美さんに僕が内言弁慶だってことがばれてしまった。
未来人恐るべし。まさか心が読めるとは。なんてことだ。恥ずかしい。不運。この上ない不運。厳密に言うと不運ってニュアンスではないけど、広い意味での不運ということで。そうしておけば何が起きても僕のせいじゃないし。


バンドのメンバーが発表されたとき、僕は考えるのを止めたんだ。もう疲れちゃってさ。それにあいつらが僕の思考に入り込んでくる。どうだった? 心の動きを読み取れなかったろう? 思い知ったか。思考停止は屈する者の必須スキルなんだぜ。でもその後は彼らにされるがまま。仕方ないさ、自分の意思ってやつが皆無だったからね。それで明美さんにエレキギターとアンプ一式を渡されて、言われるがままラインをアンプにジョイントしたらワープ。さすが未来、移動手段がおしゃれ。


ここは見たとこ出口のないシェルター。体育館くらいの大きさで壁には無数の凹凸がある。中にはドラムセットとゴリ山。ゴリ山? 二人きり!? やばい、ゴリ山こっち見てる。不機嫌そうだ。何をされるかわからない。プロレスごっこまでならokだけど、それ以上はやめて。
ゴリ山はドラムスか。うわ、まだこっち見てる。凝視されてる。でも何か変だ。僕の延髄を切ろうとする気配がない。蝶のようにとか蜂のようにとか言ってこない。なぜ僕を凝視しているんだろう。わからない。というかゴリ山の考えていることなんてひとつもわからない。ゴリ山も僕のことを何も知らない。たとえ世界がひとつになっても僕とゴリ山はわかりあえない。それでいい。
でも僕はゴリ山に、自信というか確信に近いものをひとつだけ抱いている。僕はゴリ山が求めるものを首尾よく提供してしまう。僕が好む好まざるに関わらず。誰よりも速く、誰よりも正確に。僕らはずっとそういう関係だった。
「おいポプ山、その肩にかけてるやつ何だよ」
うわー! ゴリ山が話しかけてきた。
「これ? えっと、エレキギターだけど」
「エレキギターだと!? ポプ山のくせに生意気だぞ!」
ゴリ山がスネアをスティックで思い切り叩く。スチャーン。ゴリ山がスゴ味のきいた顔で僕をにらみつける。
「ごごごごめんなさい!」
僕は思わず身をかがめ、その拍子に右手がエレキギターの弦を掻いた。ギュイーン。かっこよさげな音が響く。何たる不運。そんなつもりなかったのに。深々と頭を下げたかっただけなのに。
「おいポプ山! 気取ってんなよ!」
ゴリ山が怒りを全身で表現している。キック、スネア、キック、キック。どや顔。
「ご、ごめん!」
ジュルジュイーン。胸の前で両手を合わせてごめんねのポーズをするつもりが、今度は弦を掻き上げ鳴らしてしまった。ああ、もうダメだ。思考を停止します。
「おのれポプ山ー!」
ドドチャ、ドドスチャ、ドドチャ。
  ジャン、ジャカ、ジャカ、ジャン。
ドッチャ、ドッチャ、ドドッ、チャ。
  ジ、ジ、ジ。
ピロー、タカタンタンタンタン。

ギターとドラムスのグルーヴに、
僕とゴリ山はインストルメンタルの神様をみた。


次の日、メンバー全員の顔合わせがあった。といっても全員同じクラスだけど。
その次の日、明美さんがライブをとってきた。
2030年つまり35年後の大晦日、場所は帝国ホテルのスイートルーム。
観客は1人。秘密組織ポップコーンの親玉、つまり35年後の僕だ。
やってやる。僕はゴリ山にコブラツイストをかけられながら、ラインをアンプにジョイントした。

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次は最終回。喜多村さん、お願いします!

第4回コンポタリレー小説『ポップコーン・ボーイズ』第3話

コンビニ (2010年8月31日 03:23) | コメント(2)
コンビニです。

『ポップコーン・ボーイズ』第3話です!


ーーー

「宇宙島(そらしま)さん、いつの間に?」

金平は同級生の明美の介入にちょっとほっとした。

未来山はそんな金平の言葉をさえぎるように、急に大声を出した。

「本名で呼ぶぬぁっとぇ!ナカ村。」

「あんたこそ本名で呼ばないでよ、ナラ崎。」

宇宙島明美は冷静さを保ちつつ、怒りの感情をこめて切り返した。


ナラ崎?ナカ村?本名・・。そういえば未来山は仮の名っていってたな。宇宙島さんも仮の名ってこと?
てか未来山と宇宙島よりナラ崎とナカ村のほうがよっぽど普通の名前じゃん!なんでより未来的な名前にしてるんだ。ばれるじゃん。未来からやってきたことめちゃアピールしてんじゃん!ん、ん、んんんー!?
未来山くんは今日転校してきたけど、宇宙島さんは小学校からの同級生だ...。
宇宙島さんも未来からやってきたというのか?宇宙島さんも時空捜査官なのかー?

金平は明美の登場に安心したはずだったが、考えるうちにさらなる混乱の坩堝に迷い込んでしまった。

「保父山くん、さらに混乱させちゃったね。」

明美はゆっくりと近寄って来た。


「まずあなたの疑問を解消しましょう。私もこのナラ崎...未来山と同じく未来から派遣された時空捜査官。小学校3年生のときにあなたのクラスに転校した。覚えてる?」

「あ、そっか...。」

そうか、そういえば宇宙島さんは途中で転校してきたんだった。でもそんなに若くして時空捜査官とやらに?僕が組織するらしいポップコーン?だっけ?そいつはどんだけ悪い奴らなんだ?

「あなたは暴力に屈する。特に体格のいいゴリ山のことを恐れている。けれどゴリ山とはこの先、高校、大学、会社とずっと同じ道を歩んでいくことになる。ゴリ山の存在はあなたの人生を常に抑圧していく。ゴリ山の存在が、あなたがポップコーンを組織する一因となる。」

明美は淡々と金平に語りかけた。金平の顔はみるみる青ざめた。ゴリ山とずっと一緒だって!?宇宙島さんの話が本当なら、僕の人生お先真っ暗じゃないか。

「さすがどぁ、ナカ村!さっきはごめんず。さすぐぁ、ベースラインを丁寧にとらえとぇいるゆ。僕も見習うず。言葉もすっかり過去風になっているぬぇ。」

未来山は明美の丁寧な説明にすっかり感心していた。明美は未来山には目もくれず言葉をつづけた。

「安心して、保父山くん。わたしたちはあなたを救うためにやってきたのよ。ゴリ山への恐怖を中学時代に解消しておかなければならない。そのために、いまバンドをやるの。」

「バンド...。」

「私がバンドのプロデューサー。メンバーは、保父山くん、未来山、学級委員の春日部くん、そして、ゴリ山よ。」


第4話へつづく




第4回コンポタリレー小説『ポップコーン・ボーイズ』第2話

石川カズキ (2010年8月28日 02:06) | コメント(1)
こんばんは。主宰の石川です。
第4回コンポタリレー小説、
『ポップコーン・ボーイズ』第2話を書いたので載せます!
よろしくどうぞー。

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金平は尻餅をついたまま、目の前に突き出された手を見つめていた。その手はつるりとして白くて何処までもひとつなぎで。海蛇に似ているけどそれとも少し違う、なにか見たことの無い深海に住む生物を金平に想像させた。


こいつは何を言っているんだろう?未来から来たとかバンドやろうとか。人の気持ちにおかまいなしで勝手に話を進めていく。まだ自己紹介もしていないのに。なぜこの学校にはデリカシーの無い奴しかいないんだろう。ジュースくらい自分で買えよ。君がポップコーンを組織するのを防ぐために派遣されたんどぅあ?なんだよその語尾。流行ってんの?未来では流行ってんの?まだ自己紹介もしていないのに。進んでんでしょ文明。読んでよ空気を気遣ってよ他人を初対面で人のメガネポジションずらしといてつまりバンドやろうずぇって全然つまってない俺は痛みを伴う暴力とそれを想起させる恐怖以外の何者にも屈する気はない。


 「ああああのよくわかんないんでそのあのごごごめん無理無理むむりだもんでじゃあバイおかまいなく」 

立ち上がりながら距離を取り、距離を取りながら申し出を断り、金平は穏便にこの場から立ち去ろうとするが白い手の転校生はそれを見越していたように金平の前に回り込み進路を塞いだ。


「報告は本当だったんだぬ!信じられない思考速度どぅあ・・メガネポジションずらしたことは謝るず。ごめんず。でも語尾を濁すのは未来では初対面の礼儀でやあ。不快ならやめるよ」


どれだけ未来から来たかは知らないけど、そんなものは不快に決まっている。暴力に屈する僕にもわかる。多感な僕らは慎重に出会う必要があるんだ。想像力を働かせるんだ。頭の中に円を描くんだよ。ゆっくりと丁寧に。できるだけ綺麗な円がいい。なにも上等な道具が必要って訳じゃないんだゆっくりでいいんだ。相手が嫌かもしれないことの円と自分が相手にしたいことの円とそしてお互えええええええええ!?今のなに!?何こいつ何こいつ何!?なんでメガネポジションなんで!?読んだよ!読んだ読んでるよね俺の心読んでるよね!だめ駄目ダメだめだよ駄目だよ読んだら心を読んだら円が完全に円が言い訳できない交わる僕らはあわわわ


「・・だからいつも言ってるじゃないナラ崎。あんたはやり方が乱暴なのよ」


金平が声に驚いて振り返ると、そこには同じクラスの明美が立っていた。明美は腕を組み壁に寄りかかりながら転校生を睨んでいた。金平は明美の声を初めて聴いたような気がした。 


「分かるでしょう?スネアをキックするのとは違うの。もっと慎重にベースラインを捉まえないと、全てが台無しになってまうのよ」



第3話につづく


第4回コンポタリレー小説『ポップコーン・ボーイズ』第1話

ぴったり (2010年8月25日 00:45) | コメント(2)
ぴったりです。
リレー小説第4弾が始まります。
よろしくどうぞ。



ポップコーン・ボーイズ 第1話



「おい、ポプ山ー、ジュース買ってこいよー」

声を掛けられて、教室から出ようとしていた保父山金平(ほふやまこんぺい)は身をこわばらせた。やばい、いじめっこの郡山もといゴリ山だ!

「おい聞いてんのか、ポプ山コン平!」

振り向くとゴリ山が教室の隅からスゴ味のきいた顔でにらんでいた。

「おおおお断りします!そそそそれに僕はポプ山じゃなくて保父山です!ゴリ山君!」

抵抗するコン平だが、

「ああん!?コン平のくせに生意気だぞ!」

「ごごごごめんなさいー、行ってきます?」

体格がよくて声も大きいゴリ山はどうしたって怖い。中学生にもなって情けないと思うけどやはり逆らえない。逆らいたいけど逆らえない。でもこんな生活抜け出したい。

しょんぼり俯きながら、早足で自販機のある購買室に向かっていると曲がり角で人とぶつかってしまった。衝撃でメガネがずれた。

「でやあ!」

「痛い!」

尻もちをついたコン平がメガネ・ポジションを直して前を見ると、ぶつかった相手はギターバックを背負ってすらりと立ち、コン平に手を差し伸べていた。

「どぅあいじょうぶかい?」

コン平は彼の顔を知っていた。今朝転校してきたばかりの

「未来山くん、だよね?」

朝のホームルームで紹介されたばかりだ。

「ああ、覚えてくれありがとう。保父山君」

「僕の名前ももう覚えてくれたんだね!」

なんていい人なんだ!まだ自己紹介もしてないのに名前を覚えてくれてるなんて!

「当り前さ、僕は君に会うために未来からやって来たんだからぬぇ!」

「え?」

「実は僕は未来からやってきた時空捜査官なんどぅあ。未来山というのは仮の名すぁ。そして君は未来においては秘密組織ポップコーンの親玉。僕は君がポップコーンを組織するのを防ぐために派遣されたんどぅあ!」

秘密組織ポップコーン?僕が将来その親玉になる?彼はそれを止めるために未来からやってきた?荒唐無稽な話をまくしたてられ混乱するコン平に、

「つまり」

「つまり?」

「バンドやろうずぇ!」

未来山はさらに追い打ちをかけた。いまやコン平は混乱のきわみだった。




第2話へつづく


第3回コンポタリレー小説『ひらめき君』5/5

コンビニ (2009年11月 1日 21:32) | コメント(1)
こんばんは!コンビニです。

遅くなりましたが、「ひらめき君」第5話をお送りします。

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「フーン、僕はこっちのほうが便利だと思うけどね。」

ヒラメキメキメ君は、小脇にノートパソコンをかかえています。

「ま、せいぜいがんばりたまえ。グッラック!」

ヒラメキメキメ君はそう言い残し、去って行きました。

少年はみたび勉強に励みました。

そして1週間後、試験当日がやってきました。
少年のひらめかせる相手:ターゲットはイタリアンレストランのコックさん。新しいメニューのアイディアに悩む若き迷い人です。

【醤油】コムギとダイズを原料として作った麹に、食塩水を加えて発酵させて作る。
少年は辞書で学んだ知識を頭の中で繰り返していました。

ディンドーン、ディンドーン
朝9時のチャイムが街に鳴り響き、試験がスタートしました。

コックさんは厨房で頭をかかえていました。

「トマトソース、クリームソース、バジルソース。これだけじゃありきたりだ。何かいい味はないものか...。」

少年は昨晩近所の畑からこっそりとってきたダイズをテーブルの上に転がしました。

コロコロコロ、、カラーン

ダイズはコックさんの目の前のコップにぶつかりました。

「これは...。」

そして少年は、発酵用の樽を厨房の片隅に置きました。母親の漬物用樽をこっそり持ってきたのです。

ドシン

コックさんが目を向けると、そこには見覚えのない樽がありました。

「マメ、タル、...そうか!」

コックさんはひらめきました。
ダイズを何やら加工して樽に入れ、蓋を閉め、重しをのせました。

「やった!おじいちゃんありがとう!」
正式に合否が届くのは1週間後ですが、少年は勝利を確信しました。

そして、試験から1週間後―。

少年が朝目覚めると、そこにはへし折られたWiiの本体がありました。

試験結果には「不合格」の文字。

少年は目を疑いました。

試験官からのコメントには、
「おしい!コックがつくったのは醤油ではなく味噌でした。つめが甘かったね。」
とありました。

少年はすぐさま、祖父からもらった辞書で味噌を引きました。

【味噌】蒸したダイズに、麹と塩を混ぜ合わせて熟成させた食品。

「似てる!!確かにあのコックさん、コムギ混ぜてなかったよー。」

少年は激しく後悔しました。しかし、後悔先にたたず。後の祭りです。

ちょうど、今週のワールドヒラメキングには、
「ひらめきにはつめが大切、かな?」
というヒラメキッシュ先輩のインタビュー記事が載っていました。

「ヒラメキッシュ先輩ー!ただイラッとするだけじゃない。やっぱりいい事言うよー。」

ちなみに、ヒラメキメキメ君はムックのほうをひらめかせてしまい、一緒に留年することになりました。
ヒラメキメキメ君はちょっと謙虚になりました。

少年は、しょっぱい気持ちをばねに勉強に励みました。
一人前のひらめき天使君になるために、少年の挑戦はつづきます。


連続リレー小説『ひらめき君』 3/5

ぴったり (2009年9月30日 21:41) | コメント(0)
池田ぴったりです。
ひらめき君第3回、真ん中、ターニングポイントです。
ターン、できてるかな?

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「それじゃあそろそろ行こうかな?
これからワールドヒラメキングの取材があるからね?」

ヒラメキッシュ先輩がしゅっと席を立ちました。

「ひらめき出版界の週ジャン、ワールドヒラメキング!
先輩、っげーす!(すごいです)」

ヒラメッキシュ先輩を見送り、少年は醤油の勉強を始めました。
しかし、調べれば調べるほど醤油の世界は奥深い。
なんだか醤油の海に溺れているような気分になってきました。

「ヘイ、ミスターヒラメク、ワラアーユードゥーイング?」

突然の英語がそんなしょっぱい気持ちを吹き飛ばしました。
少年が振り向くと、見覚えのある顔が手を振っていました。

「あ、ヒラメキメキメ君!」

同級生のヒラメキメキメ13世君です。
祖父が千利休に茶碗を黒く塗らせたことで有名な名門出身の
ヒラメキメキメ君は、ひらめき界のサラブレッドと呼ばれていました。

「ハイ!どうしたのさ暗い顔して!」

「いや、たはは、試験のことでね」

「オーウ、お悩みだね?アドバイスしてあげようか?」

「いや、大丈夫、さっきヒラメキッシュ先輩からもらったし・・・
それより君の方はどうなのさ」

少年は彼の上から目線が苦手だったので、話題を自分からそらしました。

「ああ、ぼくはね、ガチャピンかな」

「ガ、ガチャピン!」

ガチャピンは立派なひらめき天使でも難しいお題です。
間違いない、ヒラメキメキメ君は周囲から期待されている!
なぜなら、サラブレッドだから!

「それに比べて僕は醤油なんかで悪戦苦闘・・・!」

劣等感も加わってさっきよりもしょっぱい気持ちになってきました。

「これじゃ薄口しょうゆだ、くそう」

仕入れたばかりの知識で今の気持ちを精一杯表現しました。


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次回はnakayama君執筆です。どうぞお楽しみにー。

ひらめき君 2/5

石川カズキ (2009年9月27日 11:52) | コメント(0)
石川です。
以下、ひらめき君の第2話です。

ーーーーー
「ヒ、ヒラメキッシュ先輩!?」

驚きのあまりイスから飛び上がった少年に、先輩は優しく問いかけました。

「おいおい少年。図書館じゃ静かにしなくてはいけないだろう?」

はっと気づくと、周りの天使達は怪訝な顔でこちらを見ていました。

「さ、さーせん(すいません)」

東南西北に一礼をし、少年は心を落ち着けました。
・・しかしなぜ、ヒラメキッシュ先輩がこんなところに?
仏教界へ交換留学しているはずでは。

「あいつらの死生観にはほとほと疲れたよ・・
 隙あらば転生しようとしやがるし?」

間違いない。ヒラメキッシュ先輩だ。少年は確信した。
美しい立ち振る舞いと身のこなし。
そして周りのひらめきを促すために必ず語尾で問いかけてくる、
ややうっとうしいその口調。

「いや、自分困ってるんすよ先輩。醤油をひらめかせるなんて無理すよ!」

「ちょっと落ち着いた方がいいじゃないか。昔から言うだろう。
 困難は分割せよ、って?」

「はぁ。困難を分割・・そうか、なるほど!
 順序だてて考えろ、ってことですね!
 なぜそうなるのか?という疑問に答える形で
 問いをどんどん分解して行き、ロジックツリーを形成。
 その末端からひとつひとつ解決していく。
 その流れを人間達に気づかせるためどうパッケージするかが
 天使の腕の見せ所!ってことですよね!」

「・・・どうだろうね?」

少年はちょっとイラッとしました。

ーーーーー

以上です。次は池田君です。よろしくー。


ひらめく君 1/5

キタムラ (2009年9月26日 18:58) | コメント(0)
こんばんは、キタムラです。遅ればせながらリレー小説第3弾「ひらめき君」を開始します。

「うーん、うーん。」
とある少年は悩んでいました。来週の試験をどうしようと。
彼はここのところ赤点続き。このままでは留年も有り得ます。
留年したらWiiを親からへし折られてしまいます。
それはもう、本体ごとです。
Wiiを失ってしまったら彼は生き甲斐の六割強を失ってしまいます。
それだけは避けたいところです。虚ろな目で呟きます。
「どうすれば人を閃かせることができるんだろう・  ・・」
実は彼は天使。閃きの影に彼らありと言われる、ひらめき天使君なのです。
ひらめき天使君たるには当然、人を閃かせることができなければなりません。
しかし、彼らの姿は人間には見えませんし、声も聞かせることはできません。
ではどうやって閃かせるのか。それは、自然界の物を使って閃かせるのです。
「人に醤油を思い付かせるなんて無理だよ。どうしろってんだよ!」
彼はか弱く呟きました。
「どうしたんだい、少年?」
声をかけられ、少年は顔を上げました。
「は!あなたは!?」
少年は驚きました。そこに現れたのはひらめき界のカリスマ。かのニュートンに重力を存在を気付かせたヒラメキッシュ3世だったのです・・・!

つづく。 ひとまずこんな感じで!

第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 5/5

コンビニ (2009年9月 5日 17:46) | コメント(0)

コンビニです。

『シュークリーム革命』第5話をお送りします!

 

 

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「キサマ、何しやがる!」

 

マッカーニはこう言いながら殴りかかりたい気持ちでいっぱいになりました。

しかしここは世界会議の場。記者団に囲まれたこの場所でそんな騒ぎを起こせば、国がさらに大変なことになってしまいます。

 

マッカーニは怒りをぐっと抑え、無言でお土産を渡し、席に着きました。

 

一方、ジャンとリンスは城の前に到着しました。

軍の兵士たちは2人を王座の間に連れて行きました。

 

「父さん!」

 

王座の間には、王様、バリトン元帥、数人の軍人がいました。

軍人は手に銃を持っています。

不安そうな面持ちで椅子に腰かけている王様は、いつもより小さく見えました。

 

「大丈夫かい!?トイレとか、ちゃんと行けているかい?お腹すいてない?」

 

ジャンは父の体を案じました。リンスは今にも泣き出してしまいそうです。

 

バリトン元帥が静かに口を開きました。

「王子、あなた方が悪いのです。あなた方がいつまでも冒険の旅に出ず、ぐずぐずしておられるから。

これからはわたくしたち軍部が政治の実権を握り、実力主義で弱肉強食な国家をつくります。」

 

「国家とは、もっと平和で穏やかなものであるべきです!あなた達には渡さない!」

ジャンが対抗しました。しかし、バリトン元帥は冷たく言い放ちました。

「あなた方にはこの国は守れない!あなた方に何ができるというんです?

特にリンス様。ガチの引きこもりなんでしょう。あなた方には、何の力もない。」

 

リンスはうつむきました。目から大粒の雫がぼろぼろとこぼれています。

 

「そんなことはない!リンス、こいつらにアレをつくるんだ!」

ジャンはいつでも冷静で、的確でした。

 

「でも...」

「大丈夫。お前ならできる。」

 

ジャンとリンスは、軍の監視のもと、キッチンに向かいました。

そして、あの卒業試験以来つくることを封印していたシュークリームを、心をこめてつくりました。

 

「リンス、これも入れてくれ。」

 

ジャンが差し出したのは、皿いっぱいのフルーツです。

 

「兄さん、これ...。」

「大丈夫。自信を持つんだ、リンス。」

 

あの卒業試験以来、リンスはシュークリームをつくるのが怖くなっていました。

家族にスイーツを振る舞うことはあっても、シュークリームだけはつくろうとしませんでした。

まして、フルーツの入ったシュークリームはなおさらです。

しかし、この極限の状態が、リンスの壁をぶち破りました。

 

「できた。」

 

卒業試験と同じ、リンスの『フルーツケーキ』が完成しました。

ジャンとリンスは、それをバリトン元帥のもとに持って行きました。

 

「シュークリーム...。」

 

バリトン元帥の表情は、先ほどよりも穏やかになっていました。

 

「うまい。」

 

軍人たちも、バリトン元帥につづき、リンスの力作を次から次へ口に運びました。

 

「おいしい!」

「こんなシュークリームはじめてだ!」

 

王座の間に和やかな空気がながれました。

 

 

「ギュギュギュイーン」

 

突然、ギターの音が鳴り響きました。この轟音は、マッカーニのギターです!

 

「お見事ね、あなた達。」

 

そこにはオドゥーマ、マッカーニ、谷町の姿がありました。

 

「谷町に頼まれてね、ひと肌脱いじゃったわ。」

オドゥーマがいつもの口調でお茶目に言いました。

 

世界会議も、クーデターも、全て王子たちに本気を出させるための作り話だったのです。

 

「首脳や記者団が全部アメリカ人の役者だって聞いた時は驚いたぜ!」

マッカーニは各国首脳の顔を知らなかったのです。世界会議の出席者が王様だったら一発でばれていたところでしたが、オドゥーマは王様が来ないことを見越していました。

 

「この子はすごいわね。こんなにロックないでたちなのに、私の挑発に負けなかった。

一国の代表として、立派に振る舞っていたわ。」

オドゥーマが優しく言いました。

 

「常に冷静なジャン様、頼もしい限りです。」

バリトン元帥は、すっかりいつものバリトン元帥に戻っていました。

 

「そしてリンス様。よくぞシュークリームをつくってくださいましたっ。」

谷町が2人に続きました。手には白いハンカチが握りしめられています。

 

何も知らなかった王様は、緊張から解放された安堵感と、家臣や息子たちの素晴らしさで胸がいっぱいでした。

 

その夜、みんなはオドゥーマの持ってきたUNOで盛り上がりました。

王様は、さすがにオールはきついので、オドゥーマの相手を息子たちに任せ、1時くらいに引き上げました。

そして、谷町の強いこと!オドゥーマが谷町の頼みを聞き入れたのはこのためかな、とジャンはひそかに分析しました。

 

「国を守るためには、ちゃんとした王子にならないと。」

UNOをやりながら、3人の王子たちはこう考えていました。

 

翌朝。

 

「父さん、僕たち、冒険の旅にいってきます!」

3人は声をそろえて言いました。

 

「その必要はなかろう。」

王様は微笑みました。

「お前たちは3人だけの力で困難を乗り越えてくれた。誰が王位を継承しても大丈夫じゃ。

谷町、国民投票の準備じゃ!」

 

その日のうちに国民投票が行われました。

 

「なんと!」

「おやおや。」

 

結果は引き分け。王様は人口が3で割れる数だったことに驚きました。

 

「3人で力をあわせて、この国を守っていってくれ。」

「はい!」

 

そして、王位継承のパーティーが盛大に執り行われました。

この様子は『公式!王室☆Blog』にもちろん掲載されました。

 

ジャンは得意のスパーリングを披露し、マッカーニは城をライブハウスに変身させました。

 

そして、テーブルにはリンスの自信作、フルーツの詰まったシュークリームが並びました。

そのシュークリームのおいしいこと!

 

第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 4/5

ぴったり (2009年9月 2日 00:57) | コメント(0)

池田です。

『シュークリーム革命』第4話をどうぞ。

 

 

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飛行機の中ではまったく退屈しませんでした。ジャンの豊富な知識は一瞬にしてあらゆるジャンルの物語を紡ぎ出し、その幅広さはナイアガラもかくや、社会派ドラマから時間ループの日常モノまでお手のものです。加えてマッカーニのエレキギターは物語をさらに雄弁にするべく、ときには繊細に爪弾かれときには激しく掻きならされ、ロック・プリンスの才能をいかんなく発揮するのでした。そして、リンスの手作りスイーツのおいしいこと。食べ物はおいしいというだけで時間を飛び越えた幸福を与えてくれるものです。

 

しかしそんな兄弟三人の和気あいあいとした時間は、あわただしい緊急報告に打ち破られました。

 

「王子様、王様が!王国が!」

 

聞けば、若い王子三人が国を開けたこの隙を狙って、軍部がクーデターを起こしたというではないですか。軍部といえば、トップのバリトン元帥はいつも国の将来を憂いていましたが、軽々しく口にはせず、ときに詩にその思いをしたためて表現する落ち着きのある大人でした。そんなバリトン元帥がいま軍を引き連れて城を占拠しているなどとは、王子たちにはにわかには信じられませんでした。その時、マッカーニのギターがビンッと鳴なりました。押さえ方が難しいFコードでした。ブリッジミュートもしてあったので短く、力強く鳴りました。

 

「こんなとこでうだうだ言っててもしょうがねえ!俺は帰るぜ!おやじが心配だあ!」

 

困難に直面したとき真っ先にそれを打ち破ろうとするのはいつも二男のマッカーニでした。子供たちだけで映画を見に行くのを王様に許可させたのもマッカーニでしたし、隣町に初めて自転車で遊びに行ったのもマッカーニでした。そして、そんな弟の猪突猛進を理論武装して助けるのは長男のジャンの役目でした。

 

「いや、マッカーニはこのままアメリカだ。世界会議で、お前のロックンロールは国境を越えて響くはずだ。そして王国には僕とリンスが戻る!」

 

王子たちを乗せた飛行機はロサンゼルスでマッカーニを下ろすと王国へ引き返して行きました。マッカーニはお土産とギターを抱えて今夜の会食が開かれるワシントンホテルへ向かいます。兄弟たちは無事にクーデターを収めてくれるだろうか、父王は無事だろうか、王国は大丈夫だろうか、不安がマッカーニをせかし、時間がたつのがものすごく遅く感じましたが、やがて会食の時間がやって来ました。

 

列国の首脳たちが立ち並び、次々とオドゥーマと握手を交わしていきます。記者団のフラッシュがぱしゃぱしゃと眩しいなか、ようやくマッカーニの番です。マッカーニが手を差し出すと、オドゥーマは顔を近づけて言いました。

 

「どうだったかしら、クーデターのプレゼントは?」

 

なんと、クーデターは、オドゥーマが裏で手を引いていたのでした!

 

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次は最終回、コンビニちゃんお願いします。