第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 4/5
池田です。
『シュークリーム革命』第4話をどうぞ。
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飛行機の中ではまったく退屈しませんでした。ジャンの豊富な知識は一瞬にしてあらゆるジャンルの物語を紡ぎ出し、その幅広さはナイアガラもかくや、社会派ドラマから時間ループの日常モノまでお手のものです。加えてマッカーニのエレキギターは物語をさらに雄弁にするべく、ときには繊細に爪弾かれときには激しく掻きならされ、ロック・プリンスの才能をいかんなく発揮するのでした。そして、リンスの手作りスイーツのおいしいこと。食べ物はおいしいというだけで時間を飛び越えた幸福を与えてくれるものです。
しかしそんな兄弟三人の和気あいあいとした時間は、あわただしい緊急報告に打ち破られました。
「王子様、王様が!王国が!」
聞けば、若い王子三人が国を開けたこの隙を狙って、軍部がクーデターを起こしたというではないですか。軍部といえば、トップのバリトン元帥はいつも国の将来を憂いていましたが、軽々しく口にはせず、ときに詩にその思いをしたためて表現する落ち着きのある大人でした。そんなバリトン元帥がいま軍を引き連れて城を占拠しているなどとは、王子たちにはにわかには信じられませんでした。その時、マッカーニのギターがビンッと鳴なりました。押さえ方が難しいFコードでした。ブリッジミュートもしてあったので短く、力強く鳴りました。
「こんなとこでうだうだ言っててもしょうがねえ!俺は帰るぜ!おやじが心配だあ!」
困難に直面したとき真っ先にそれを打ち破ろうとするのはいつも二男のマッカーニでした。子供たちだけで映画を見に行くのを王様に許可させたのもマッカーニでしたし、隣町に初めて自転車で遊びに行ったのもマッカーニでした。そして、そんな弟の猪突猛進を理論武装して助けるのは長男のジャンの役目でした。
「いや、マッカーニはこのままアメリカだ。世界会議で、お前のロックンロールは国境を越えて響くはずだ。そして王国には僕とリンスが戻る!」
王子たちを乗せた飛行機はロサンゼルスでマッカーニを下ろすと王国へ引き返して行きました。マッカーニはお土産とギターを抱えて今夜の会食が開かれるワシントンホテルへ向かいます。兄弟たちは無事にクーデターを収めてくれるだろうか、父王は無事だろうか、王国は大丈夫だろうか、不安がマッカーニをせかし、時間がたつのがものすごく遅く感じましたが、やがて会食の時間がやって来ました。
列国の首脳たちが立ち並び、次々とオドゥーマと握手を交わしていきます。記者団のフラッシュがぱしゃぱしゃと眩しいなか、ようやくマッカーニの番です。マッカーニが手を差し出すと、オドゥーマは顔を近づけて言いました。
「どうだったかしら、クーデターのプレゼントは?」
なんと、クーデターは、オドゥーマが裏で手を引いていたのでした!
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次は最終回、コンビニちゃんお願いします。
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