第2回コンポタリレー小説『シュークリーム革命』 5/5

コンビニ (2009年9月 5日 17:46) | コメント(0)

コンビニです。

『シュークリーム革命』第5話をお送りします!

 

 

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「キサマ、何しやがる!」

 

マッカーニはこう言いながら殴りかかりたい気持ちでいっぱいになりました。

しかしここは世界会議の場。記者団に囲まれたこの場所でそんな騒ぎを起こせば、国がさらに大変なことになってしまいます。

 

マッカーニは怒りをぐっと抑え、無言でお土産を渡し、席に着きました。

 

一方、ジャンとリンスは城の前に到着しました。

軍の兵士たちは2人を王座の間に連れて行きました。

 

「父さん!」

 

王座の間には、王様、バリトン元帥、数人の軍人がいました。

軍人は手に銃を持っています。

不安そうな面持ちで椅子に腰かけている王様は、いつもより小さく見えました。

 

「大丈夫かい!?トイレとか、ちゃんと行けているかい?お腹すいてない?」

 

ジャンは父の体を案じました。リンスは今にも泣き出してしまいそうです。

 

バリトン元帥が静かに口を開きました。

「王子、あなた方が悪いのです。あなた方がいつまでも冒険の旅に出ず、ぐずぐずしておられるから。

これからはわたくしたち軍部が政治の実権を握り、実力主義で弱肉強食な国家をつくります。」

 

「国家とは、もっと平和で穏やかなものであるべきです!あなた達には渡さない!」

ジャンが対抗しました。しかし、バリトン元帥は冷たく言い放ちました。

「あなた方にはこの国は守れない!あなた方に何ができるというんです?

特にリンス様。ガチの引きこもりなんでしょう。あなた方には、何の力もない。」

 

リンスはうつむきました。目から大粒の雫がぼろぼろとこぼれています。

 

「そんなことはない!リンス、こいつらにアレをつくるんだ!」

ジャンはいつでも冷静で、的確でした。

 

「でも...」

「大丈夫。お前ならできる。」

 

ジャンとリンスは、軍の監視のもと、キッチンに向かいました。

そして、あの卒業試験以来つくることを封印していたシュークリームを、心をこめてつくりました。

 

「リンス、これも入れてくれ。」

 

ジャンが差し出したのは、皿いっぱいのフルーツです。

 

「兄さん、これ...。」

「大丈夫。自信を持つんだ、リンス。」

 

あの卒業試験以来、リンスはシュークリームをつくるのが怖くなっていました。

家族にスイーツを振る舞うことはあっても、シュークリームだけはつくろうとしませんでした。

まして、フルーツの入ったシュークリームはなおさらです。

しかし、この極限の状態が、リンスの壁をぶち破りました。

 

「できた。」

 

卒業試験と同じ、リンスの『フルーツケーキ』が完成しました。

ジャンとリンスは、それをバリトン元帥のもとに持って行きました。

 

「シュークリーム...。」

 

バリトン元帥の表情は、先ほどよりも穏やかになっていました。

 

「うまい。」

 

軍人たちも、バリトン元帥につづき、リンスの力作を次から次へ口に運びました。

 

「おいしい!」

「こんなシュークリームはじめてだ!」

 

王座の間に和やかな空気がながれました。

 

 

「ギュギュギュイーン」

 

突然、ギターの音が鳴り響きました。この轟音は、マッカーニのギターです!

 

「お見事ね、あなた達。」

 

そこにはオドゥーマ、マッカーニ、谷町の姿がありました。

 

「谷町に頼まれてね、ひと肌脱いじゃったわ。」

オドゥーマがいつもの口調でお茶目に言いました。

 

世界会議も、クーデターも、全て王子たちに本気を出させるための作り話だったのです。

 

「首脳や記者団が全部アメリカ人の役者だって聞いた時は驚いたぜ!」

マッカーニは各国首脳の顔を知らなかったのです。世界会議の出席者が王様だったら一発でばれていたところでしたが、オドゥーマは王様が来ないことを見越していました。

 

「この子はすごいわね。こんなにロックないでたちなのに、私の挑発に負けなかった。

一国の代表として、立派に振る舞っていたわ。」

オドゥーマが優しく言いました。

 

「常に冷静なジャン様、頼もしい限りです。」

バリトン元帥は、すっかりいつものバリトン元帥に戻っていました。

 

「そしてリンス様。よくぞシュークリームをつくってくださいましたっ。」

谷町が2人に続きました。手には白いハンカチが握りしめられています。

 

何も知らなかった王様は、緊張から解放された安堵感と、家臣や息子たちの素晴らしさで胸がいっぱいでした。

 

その夜、みんなはオドゥーマの持ってきたUNOで盛り上がりました。

王様は、さすがにオールはきついので、オドゥーマの相手を息子たちに任せ、1時くらいに引き上げました。

そして、谷町の強いこと!オドゥーマが谷町の頼みを聞き入れたのはこのためかな、とジャンはひそかに分析しました。

 

「国を守るためには、ちゃんとした王子にならないと。」

UNOをやりながら、3人の王子たちはこう考えていました。

 

翌朝。

 

「父さん、僕たち、冒険の旅にいってきます!」

3人は声をそろえて言いました。

 

「その必要はなかろう。」

王様は微笑みました。

「お前たちは3人だけの力で困難を乗り越えてくれた。誰が王位を継承しても大丈夫じゃ。

谷町、国民投票の準備じゃ!」

 

その日のうちに国民投票が行われました。

 

「なんと!」

「おやおや。」

 

結果は引き分け。王様は人口が3で割れる数だったことに驚きました。

 

「3人で力をあわせて、この国を守っていってくれ。」

「はい!」

 

そして、王位継承のパーティーが盛大に執り行われました。

この様子は『公式!王室☆Blog』にもちろん掲載されました。

 

ジャンは得意のスパーリングを披露し、マッカーニは城をライブハウスに変身させました。

 

そして、テーブルにはリンスの自信作、フルーツの詰まったシュークリームが並びました。

そのシュークリームのおいしいこと!

 

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