第4回コンポタリレー小説『ポップコーン・ボーイズ』第4話

中山(ペス) (2010年9月 3日 08:42) | コメント(1)
こんにちは。中山です。
第4回コンポタリレー小説、
『ポップコーン・ボーイズ』第4話。
どうぞ。

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思考停止を解除。
ああ、未来山くんと明美さんに僕が内言弁慶だってことがばれてしまった。
未来人恐るべし。まさか心が読めるとは。なんてことだ。恥ずかしい。不運。この上ない不運。厳密に言うと不運ってニュアンスではないけど、広い意味での不運ということで。そうしておけば何が起きても僕のせいじゃないし。


バンドのメンバーが発表されたとき、僕は考えるのを止めたんだ。もう疲れちゃってさ。それにあいつらが僕の思考に入り込んでくる。どうだった? 心の動きを読み取れなかったろう? 思い知ったか。思考停止は屈する者の必須スキルなんだぜ。でもその後は彼らにされるがまま。仕方ないさ、自分の意思ってやつが皆無だったからね。それで明美さんにエレキギターとアンプ一式を渡されて、言われるがままラインをアンプにジョイントしたらワープ。さすが未来、移動手段がおしゃれ。


ここは見たとこ出口のないシェルター。体育館くらいの大きさで壁には無数の凹凸がある。中にはドラムセットとゴリ山。ゴリ山? 二人きり!? やばい、ゴリ山こっち見てる。不機嫌そうだ。何をされるかわからない。プロレスごっこまでならokだけど、それ以上はやめて。
ゴリ山はドラムスか。うわ、まだこっち見てる。凝視されてる。でも何か変だ。僕の延髄を切ろうとする気配がない。蝶のようにとか蜂のようにとか言ってこない。なぜ僕を凝視しているんだろう。わからない。というかゴリ山の考えていることなんてひとつもわからない。ゴリ山も僕のことを何も知らない。たとえ世界がひとつになっても僕とゴリ山はわかりあえない。それでいい。
でも僕はゴリ山に、自信というか確信に近いものをひとつだけ抱いている。僕はゴリ山が求めるものを首尾よく提供してしまう。僕が好む好まざるに関わらず。誰よりも速く、誰よりも正確に。僕らはずっとそういう関係だった。
「おいポプ山、その肩にかけてるやつ何だよ」
うわー! ゴリ山が話しかけてきた。
「これ? えっと、エレキギターだけど」
「エレキギターだと!? ポプ山のくせに生意気だぞ!」
ゴリ山がスネアをスティックで思い切り叩く。スチャーン。ゴリ山がスゴ味のきいた顔で僕をにらみつける。
「ごごごごめんなさい!」
僕は思わず身をかがめ、その拍子に右手がエレキギターの弦を掻いた。ギュイーン。かっこよさげな音が響く。何たる不運。そんなつもりなかったのに。深々と頭を下げたかっただけなのに。
「おいポプ山! 気取ってんなよ!」
ゴリ山が怒りを全身で表現している。キック、スネア、キック、キック。どや顔。
「ご、ごめん!」
ジュルジュイーン。胸の前で両手を合わせてごめんねのポーズをするつもりが、今度は弦を掻き上げ鳴らしてしまった。ああ、もうダメだ。思考を停止します。
「おのれポプ山ー!」
ドドチャ、ドドスチャ、ドドチャ。
  ジャン、ジャカ、ジャカ、ジャン。
ドッチャ、ドッチャ、ドドッ、チャ。
  ジ、ジ、ジ。
ピロー、タカタンタンタンタン。

ギターとドラムスのグルーヴに、
僕とゴリ山はインストルメンタルの神様をみた。


次の日、メンバー全員の顔合わせがあった。といっても全員同じクラスだけど。
その次の日、明美さんがライブをとってきた。
2030年つまり35年後の大晦日、場所は帝国ホテルのスイートルーム。
観客は1人。秘密組織ポップコーンの親玉、つまり35年後の僕だ。
やってやる。僕はゴリ山にコブラツイストをかけられながら、ラインをアンプにジョイントした。

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次は最終回。喜多村さん、お願いします!

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おおついにライブだ―!アガるぜ!

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